１．悲観的に準備する

まず試験前に勉強等している段階、つまり準備段階では、「悲観的に準備」します。
ここでいう悲観的とは、無闇に不安がることではなく、リスクを積極的に探し、その対策を充分に行うことを意味します。つまり、何となく上手くいくだろうという楽観的な見通しに基づいて準備するのではなく、思いつく危険性などを「こういう危うい点さはないだろうか」と積極的に調べ、対策していくことです。
準備段階では、そのようにある種の悲観的な観点から対策していく必要があります。そうすることで、様々なリスク要因をチェックし、発見して、それに備えてあらかじめ対策をすることができます。これは直前になってからでは難しいことです。あらかじめ早め早めに準備することで適切な対処が可能になります。
公務員試験の勉強においても同様です。試験に向けてどの勉強をどれだけして、それまでに確保できる勉強時間はどれだけあるのか、悲観的な観点から計画することが準備段階では求められます。ただし、何となく不安を感じているような、曖昧で漠然とした悲観主義は無意味ですし、そういう状態に陥るべきではありません。準備段階で必要なことは、具体的な実行に移すこと、つまり計画的な勉強や政策研究をすることが必要です。

 

２．楽観的に対処する

準備段階が終わり、実際に対処する段階では、楽観的になることが重要です。既に実行する段階になってから悲観的になっても、そこから新たにできることは、ほぼ無いからです。
たとえば、試験会場で試験時間中に問題を見て、分からない問題が少なからずあったとしても、そこから勉強したりすることは不可能です。実際に対処する段階では、そこから新たに出来る事はほとんど無いと考えて良いでしょう。
それでは、対処段階では何ができるかというと、それは準備段階で身につけた実力を充分に発揮することしかありません。この段階では悲観的になっても、マイナス要因にしかなりません。そこでするべきことは楽観的になることです。
試験会場は当然ですが、独特の雰囲気の中で限られた時間に問題を解くことが求められます。そこで悲観的になって過剰に緊張することで、解ける問題も解けなくなるのは本末転倒です。この段階になったら、楽観的になって対処することです。楽観的になることで、試験まで身につけて来た学力をリラックスして充分に発揮することを心がけるべきです。仮に分からない問題があったとしても、その場で新たに問題に対する知識等が降ってくる訳ではありません。その時点までで身につけた力を頼りに、固くなりすぎずに楽観的になって全力を尽くすことが最善だと言えます。

３．「楽観的に準備して、悲観的に対処する」危うさ

危機管理において最悪な心構えが「楽観的に準備して、悲観的に対処する」ことです。
まず、準備段階で楽観的では、備えるべきリスクが全く発見できません。「何とかなるだろう」くらいのつもりでいては、気がつけば時間が経っていることでしょう。そうしている間にも、適切に備えるべき準備の時間はどんどん無くなっていきます。準備段階で楽観的になることは、このように極めて危ういことです。
そして対処段階で悲観的になるのも危険です。実行する段階にまで至ってからでは、そこから新たにできることはほとんどありません。そんなときに悲観的になるのは、身につけた実力が発揮できないことにつながります。これは公務員試験においても同様です。試験が始まった時点で、そこから新たなことは、ほとんどできません。そこまで身につけて来た学力で対処する必要があります。そこで悲観的になることは、さらなるマイナス要因になりかねないわけです。
人間は現実には、危機が目の前に迫ってから慌てることが多くあります。その結果「楽観的に準備して、悲観的に対処する」ことになりがちです。そうなりやすいからこそ、常日頃から意識的に「悲観的に準備して、楽観的に対処する」ことが重要であると言えるでしょう。

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