西川
民間企業の多くには退職金制度があります。これは勤続年数に応じて、支給されるものです。退職金制度は必須のものではありませんが、大企業を中心に制度化している企業も多くあります。公務員においても退職金制度はあって、正確には退職手当と呼ばれています。
この退職手当について以下に見ていきましょう。
国家公務委員の手当の一つである退職手当は、俸給表を元に算出されます。俸給表は職務や勤務条件の類似性によって分類された公務員の給与表のことです。ですので、国家公務員でも職種によって俸給表が異なり、俸給表が異なれば給与も違ってきます。そして、俸給表に基づいて支給される退職手当についても異なってくることがわかります。
国家公務員の退職手当は、以下の計算方法で算出されています。
退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額
たとえば、俸給月額(月給)が約50万円の行政職9級12号俸の国家公務員が、勤続年数40年で定年退職したとします。この場合、退職理由別・勤続期間別支給率は59.28、調整額(職種や等級によって異なります)は300万円になります。計算すると以下の通りです。
50×59.28+300=3264万円
あくまでも一例ですが、このような額になります。
地方公務員の退職手当は、各自治体の条例で定められますが、基本的には国家公務員の退職手当の計算方法に準じています。
退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額
たとえば、さいたま市を例にすると、俸給月額(月給)が約50万円の行政職7級22号俸の職員が、勤続年数40年で定年退職したとします。この場合、退職理由別・勤続期間別支給率は59.28、調整額(職種や等級によって異なります)は約125万円になります。計算すると以下の通りです。
50×59.28+300=3089万円
あくまでも一例ですが、このような額になります。俸給月額と勤続年数が変わらないのに、総額が国家公務員のケースよりも少ないのは、さいたま市は調整額が国よりも少ないためです。
退職手当は、国家公務員の制度に地方公務員も準じている自治体がほとんどなので、大差ないといえるでしょう。ただし、自治体によっては政策的に調整額などを条例によって増減することがあります。ですので、完全に国家公務員と同一というわけではなく、若干の差は自治体によって出てきます。ただ、極端な大差はないと言って良いでしょう。
退職手当もそうですが、公務員の給与全般においていえるのは、勤続年数の長さです。勤続年数が長ければ、余程のことがないかぎり俸給表上で昇給していきますし、対象手当においても、勤続年数別支給率において大幅に有利になります。
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