１．特別区立幼稚園教員候補者選考について
公立幼稚園を例年安定的に採用している自治体は、特別区が挙げられます。特別区立幼稚園教員採用試験は、ほぼ毎年、一定数（2桁）の採用が行われています。
特別区立幼稚園教員候補者選考とは、特別区（東京23区）が事務の一部を共同して処理するために設置している教育委員会で実施する採用試験です。この試験に最終合格すると採用候補者名簿に氏名が登載されます。名簿に記載された合格者は、続いて各区の人事委員会の面接を受けて、上手くいけばその区の区立幼稚園の教員として内定を得ることになります。
ただし、特別区立幼稚園教員試験は、最終合格者の人数が限定的で、補欠者の方が多いという試験なので、厳しい試験であることは間違いありません。
一次試験の倍率は例年3倍強程度で、最終合格の倍率は年度によって3.5倍程度から14倍程度、受験者数と採用者数から見ると倍率は8～14倍程度と、かなり厳しい試験です。なお、最終合格ではありませんが、補欠者は最終合格者よりも多く出ています。補欠者は、最終合格者に辞退者が出た場合などに、補欠者の上位から繰り上げられます。
実際の採用は、各区の欠員状況に応じて行われている模様で、採用者数は最終合格者数よりも多い年度がほとんどです。つまり、補欠者からの採用も一定数あることがわかります。
厳しい試験ですが、毎年定期的に一定数の採用を行っている自治体は特別区しかないため、公立幼稚園教諭を目指す場合には、特別区を受験することは必須とも言えるでしょう。
なお、特別区立幼稚園教員候補者選考は過去問が公開されているので（区役所で閲覧できます）、受験を考えている方は区役所で閲覧、コピー（有料）をしてきて勉強に役立てると良いでしょう。
２．市町村における公立幼稚園教諭の募集について
特別区以外の市町村における公立幼稚園教諭の募集ですが、幼稚園教諭としての募集はかなり少ないです。とはいえ、全く無いわけではなく、幼稚園教諭として募集が行われる場合は保育士との兼任で募集が行われることが多いです。この場合の募集は、保育証と幼稚園教諭免許の両方の取得もしくは取得見込みが応募の前提になります（「保育士・幼稚園教諭」「保育教諭」といった名称で募集が行われることが多いです）。
採用後は市町村立の保育所や幼稚園、こども園などに配置されるようですが、必ず幼稚園に配属されるわけでは無いのでご注意ください。
３．併願の方針について
上記のように、幼稚園教諭を本命として考えているようでしたら、特別区立幼稚園教員試験は外せないでしょう。公立で少なくとも幼稚園教諭としての配属が確実で、例年二桁以上の採用が行われているのは特別区立幼稚園教員以外は見当たらないからです。
また、保育士・幼稚園教諭の募集がある自治体も狙い目です。この場合は、必ずしも幼稚園に配属されるとは限りませんが、公立幼稚園に配属される可能性もあるので、公立幼稚園で働くことを志望している場合は、選択肢に含めて良いでしょう。
そして、上記の日程と被らない範囲で保育士採用試験にも応募することを強くお勧めします。公立幼稚園教員と公立保育所保育士では、募集人員において後者の方がずっと多いので、公務員として働くことを考えた場合には、併願されることを強くお勧めします。
特別区立幼稚園教員試験は6月、その他の市町村は9月（政令指定都市は9月第4日曜日、それ以外の市町村は9月第3日曜日）に採用試験の1次試験が行われることが多いです。それ以外にも独自日程（SPI、SCOAを試験問題として使うことが多いです）の市町村も少なくないので、それらを上手く組み合わせてリスクを分散した併願をしていくことをお勧めします。
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