国家公務員の試験制度が変更か?

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2022年6月10日、人事院から年次報告が国会と内閣に提出されました。その中に、国家公務員採用試験についても変更についての具体策が盛り込まれています。
来年度以降受験を考えている方は注意しておきましょう。

1.国家公務員試験のおもな変更点 

人事院の年次報告による主な変更点は次の内容となります。まだ決定ではありませんが、2022年度中に具体的な方針が示されます。

(主な変更点)
・国家総合職採用試験の前倒し(一ヶ月程度)
・国家一般職(大卒)試験区分に、専門試験を課さない新区分を新設
・基礎能力試験を現行試験よりも受験をしやすくするための変更
・デジタル社会に対応した出題の検討
・受験可能年齢の引下げ

近年の国家公務員の志望者が減少している状況から、優秀な人材を確保するために、採用時期や試験問題を受験しやすい内容に替えることを打ち出しています。

2.キャリア官僚が減り続けていることに危機感

「キャリア官僚」である総合職の志望者は減り続けています。
2022年度の国家公務員総合職の試験申込者数は1万5330人でした。2021年度比で7.1%増えたものの、現在の試験制度になってからは過去2番目に少ない状況です。申込者数では10年前の3分の2ほどにとどまっています。

人事院が実施した学生向け意識調査では、国家公務員を志望しなかった理由として「採用試験の勉強や準備が大変」を挙げた者が多数いました。 大学の就職担当教職員や各府省の人事担当者に対し、採用試験に対する認識を聴取したところ、採用試験準備に対する負担感が大きく、学生が国家公務員を志望しない理由にもなっていると指摘されたことも原因となっています。国家公務員志望者を増やすための一つの方策として、学生等にとって受験しやすい採用試験に変更することが見直しの内容となっています。


また、白書は国家公務員の若手の離職が増えている現状にも触れています。採用後5年未満の総合職の離職が増えている現状をデータで表し、異動や昇任によって不安を感じる国家公務員が多いとも分析しています。人材の流動時代に入っていることからいかに組織のマネジメント力を高めていくかが課題となっています。

人事院の川本総裁は記者会見で「公務員人材の確保は危機的状況。これまでの採用戦略、手法を維持するだけでは事態は好転しない」としています。

今回の変更は、主にキャリア官僚を確保するためのものと見られますが、一般職の公務員試験の内容も変更され人材を確保しやすい制度に変えられます。

3.採用試験の見直し部分

2022年度中を目途に方針を打ち出すものをまとめました。

① 総合職春試験の実施時期の前倒し
総合職春試験の最終合格者発表日後に行われる各 府省への官庁訪問について、民間企業の内々定解禁日(6月1日)と同時期に行える環境を整 備することが不可欠と考える。そのためには、総合職春試験の実施時期を前倒しし、最終合格 者発表を 5月下旬(現行6月下旬)に行えるようにする。

②「教養区分」受験機会の拡大
総合職試験全体の申込者数が減少し続ける中、専門分野に関係なく受験できる「教養区分」の申込者数は堅調に推移している。採用率が他の試験区分と比べ高く、多くの志望者が「教養区分」を受験しやすくなるよう受験機会を拡大する必要がある。「教養区分」の第1次受験地を、東京・大阪市・札幌市・福岡市からさらに試験地を拡大していく。

③人文科学専攻者が受験しやすい試験区分
採用者に占める人文科学専攻者の割合が上昇傾向にある。人文科学専攻者が自らの専攻分野で受験しやすい試験区分を設けることは、採用試験の間口拡大の一環として有効な施策と考えられることから、具体的な試験区分の在り方について検討していく。

④合格有効期間の延伸
採用試験合格後に、民間企業や博士課程等で経験を積んだ後でも官庁訪問ができるよう、現行3年となっている採用候補者名簿の有効期間を延伸する方向。

4.その他の検討される施策

①一般職試験(大卒程度試験)に専門試験を課さない試験区分を新設
地方自治体等と併願する志望者に対 する間口を拡大するため、一般職試験(大卒程度試験)において専門試験を課さない試験区分を新たに設ける。

②受験しやすい基礎能力試験の検討
国家公務員に必要とされる基礎的素養について勘案しつつ、現行より受験しやすい基礎能力試験を検討

総合職春試験(事務系区分)第2次試験の負担軽減
より自らの専攻分野に沿った受験が可能となるよう、事務系区分の専門試験(記述式)の解答数を削減

デジタル社会に対応した出題の検討
文系・理系問わず取り組めるような情報分野に関する出題を検討

受験可能年齢の引下げ
より早期に採用試験を受けられるよう、受験可能年齢の引下げ

⑥総合職(院卒者試験)の受験資格見直し
総合職試験(院卒者試験)を修士課程1年次でも受験できるように するなど、受験資格を見直し

5.今後の対策は?

今までの例では、国家公務員の試験制度が変更される場合は年内にアナウンスがあります。受験しやすい環境への変更は実施される可能性が高いです。ただ、受験対策としては今まで通りの試験対策をしておくことをお勧めします。

専門試験がなくなる区分ができても、専門試験を実施する区分は残っており、地方公務員の試験状況からもわかりますが、専門試験を実施する区分の方が倍率は低くなります。専門試験の学習は教養試験の補完ともなりますので、現在学習している方はそのまま続けることをお勧めします。

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