近年、公務員試験では集団討論を行う自治体が多くあります。特に、地方上級に該当する、府県庁の上級職では集団討論やグループワークが実施されるところが少なくありません。集団討論は実際に経験を積むことが難しいため、対策がしづらい試験です。ここでは集団討論の基礎力を養うための方法について述べていきます。
1.事実と意見を分ける
集団討論は課題に対して参加者が意見を述べる場です。その際に注意したいことは事実と意見を分けて考えることです。人はついつい自分の関心がある事や好みの事を中心に考えがちです。ですので、自分の関心がある事については良いもので、逆に関心が無い事については無価値か嫌いであると判断してしまいがちです。しかし、事実は事実、意見は意見として分ける意識が必要です。例えば食べ物の味について、自分が甘い物が好きで辛い物が嫌いだとします。すると、つい甘い物の価値を高く評価して、辛い物の価値を低く評価しがちです。しかし、人によって好みは分かれるものです。自分が甘い物が好きだとしても逆に嫌いな人もいるでしょうし、辛い物が好みの人もいることも考えられます。
つまり、甘い、辛いといった味は、それ自体は事実として価値判断が伴わないといえます。自分の価値判断が先行して、その価値観だけで物事を見てしまうと、異なる価値観に気づかなくなってしまいます。
特に集団討論では様々な意見が交わされます。その時に自分の価値観や意見だけに固執して、他者の意見を全く無価値なもの、嫌なものとして取り扱っていては、意見の調整ができなくなる危険があります。
事実は事実、意見は意見として分けて考えることを普段から心がけることで、集団討論でも異なる意見を色眼鏡で見ることなく、客観的に捉えられる一助となるでしょう。
2.人格攻撃をしない
討論と名のつく場では、意見が対立することもあります。しかし、自分と異なる意見と接したとしても、相手の人格攻撃をすることは厳に慎むべきです。異なる意見は異なる意見として、それ自体は尊重すべきです。異なる主張とは、異なる立場や価値観から述べているだけだと意識しましょう。その上で、異論や反論がある場合は、それを述べれば済むことです。意見が異なるからといって、相手をののしったり、声高に怒鳴りつけたりするなど、人格攻撃をすることはくれぐれも避けましょう。
では、異なる意見の人について全て同意しなければいけないとか、というとそれはまた違うといえます。異なる相手の意見について耳を傾けてそれを理解することと、その意見に同意することは違います。もちろん異なる意見に同意することも充分あり得ますが、相手の主張内容について、どういった意見なのかそれを理解することと、それに対して異を唱えたり反論することは、充分両立し得ます。
3.普段から様々な立場からの意見に接する
日常生活では、人は自分の好みや価値観に合う情報に接することがほとんどです。それが通常ともいえますが、そればかりだと異なる価値観と接した時に戸惑いがちです。公務員試験に限らず、就職試験で集団討論が採り入れられる理由の一つとして、職場のシミュレーションの意味合いがあります。つまり、社会に出れば職場で様々意見を交わして仕事をしていく場面が多くあります。その時に自分の価値観だけに合う人だけを選んで、自分のやりたいことだけをやることはほとんどありません。仕事の現場では、様々な意見の調整が必要になります。集団討論はそういった異なる意見、様々な意見の間で調整していく能力があるか確認する場ともいえます。
日常生活では、なかなか異なる意見の人と接することはあまり多くないかもしれません。しかし、新聞やニュース、本などに接するときには、なるべくなら同じ事柄に対して複数の意見や情報に接することを意識すると良いでしょう。すると、同じ出来事でも少し違った見解が見て取れたり、全く違う立場からの意見なども目にすることがあります。それを一概に拒否するのではなく、なぜ異なる意見なのか、なぜそういった主張になるのか、それを理解するように努めることで、集団討論の基礎力を養うことができるでしょう。
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