
一般教養試験の自然科学の科目の中で、「物理」は「知識」のほかに「計算」が必要な問題が出題されます。
ほとんどの公務員試験では、物理は1問しか出題されませんが(東京消防庁・消防官採用試験では、物理は2問出題)、出題範囲が広いため、多くの知識と公式を覚えた上で、計算して正答を導く力が必要になります。
高校で物理を履修した方は、そのときに覚えた知識や公式、解法を活用すれば、概ね正答できるでしょう。
高校で物理を履修していなかった方や、数学の計算が苦手な方は、物理の内容についてゼロから理解して問題を解けるようにするのは、困難が多いかもしれません。
多くの公務員志望者(東京消防庁・消防官志望者を除く)で、物理が苦手な方は、物理を「捨て科目」にしてしまうのも、一つの戦略です。一次試験の筆記試験は、満点を取る必要がありません。概ね6割以上正答できれば良いのです。物理1問のために学習の時間を多く割くよりも、知能分野の科目や文章理解、社会科学や人文科学をしっかりと対策して、物理以外の科目でしっかりと得点できれば、十分にカバーできます。
ただし、何もしないで、ただ捨ててしまうのは、もったいないと考える方もいるかもしれません。
物理も他の科目と同様に、すべての項目について完璧に理解し、覚える必要はありません。
出題頻度が高い項目の中で、自分が理解できて、公式を使って計算できる項目について、いくつか解けるようにしておくことも、戦略の一つです。
試験本番まで1年以上あって、試験対策の時間に余裕がある場合は、物理の出題傾向を把握して、自分にとって解けそうな問題が出題されていれば、解法を学んでみるのもよいでしょう。
今回は、一般教養試験の「物理」の「学習のコツ」をお伝えします。
1 物理の頻出項目
一般教養試験の、物理の頻出項目は、次の通りです。
(1)物体の運動 (等速運動、等加速度運動、落下運動 など)
(2)力のつり合い (力の合成・分解、ばねの伸び、摩擦力、浮力、モーメント など)
(3)エネルギーの保存 (力学的エネルギーの保存、運動量の保存、熱エネルギーの保存 など)
(4)電気 (電気抵抗、電力、合成抵抗、クーロンの法則 など)
(5)波動 (音、光・電磁波 など)
これらの項目の出題頻度は、ほぼ同程度です。
自分にとって理解しやすい項目を重点的に取り組み、余裕があれば、別の項目も取り組んでみるとよいでしょう。
(1)物体の運動
ニュートンの運動法則(慣性の法則、運動方程式、作用・反作用の法則)を理解した上で、運動に関する公式を覚えて、計算して解く問題です。
計算自体はそれほど難しくないので、必要な公式をいくつか覚えて、どのような状況のときにどのような公式を使えばよいかを理解して、計算の練習を繰り返しておきましょう。
(2)力のつり合い
「力の合成・分解」は、図を描いた上で計算して解く問題ですが、「ばねの伸び」「摩擦力」「浮力」「モーメント」は、公式を使って、計算で解く問題です。必要な公式をいくつか覚えて、どのような状況のときにどのような公式を使えばよいかを理解して、計算の練習を繰り返しておきましょう。
なお、「力の合成・分解」の図を描くときに、高校数学の「直角三角形の三平方の定理」の知識・計算が必要になりますので、覚えておきましょう。また、「摩擦力」の計算では、高校数学の「三角関数」の知識が必要になりますので、覚えておきましょう。
(3)エネルギーの保存
高校で物理を履修していなかった方でも、比較的取り組みやすい項目です。簡単な知識と公式を覚える必要はありますが、計算自体は簡単です。「力学的エネルギーの保存」、「運動量保存」から始めて、「熱エネルギーの保存」の計算までできるようにしておくとよいでしょう。
(4)電気
他の項目より、出題頻度が比較的高い項目です。電気に関する用語、「直列回路」の特徴、「並列回路」の特徴を理解し、「電気」に関する簡単な公式を覚えれば、高校で物理を履修していなかった方でも、標準的な難易度の問題ならば、計算して解くことができるようになります。
「合成抵抗」の計算問題の出題頻度が比較的高いので、公式を使って解けるようにしておきましょう。
(5)波動
「音」に関する問題と「光・電磁波」に関する問題が出題されます。公式を使った計算問題も出題されますが、「波の知識」だけで解くことができる問題が出題されることも多い項目です。
多くの用語について意味を覚える必要がありますが、「計算の必要が無い問題」が出題された場合、計算が苦手な方でも、得点のチャンスが生じます。公式と計算による解法も理解できる場合は、計算問題もチャレンジしてみましょう。
2 物理の学習の取り組み方
基本としては、「出題頻度が高い項目」をしっかりと取り組みましょう。ある項目について理解できたら、別の項目を取り組むような形で進めましょう。
まずは、「物理の参考書」を入手しましょう。「物理基礎」だけでなく、「高校物理」全般について記載されている参考書を入手しましょう。図や写真が多く、字が大きく、理解しやすいものを選びましょう。
その上で、出題頻度が高い項目について、参考書の内容を見ながら、過去問を解いていきましょう。
「取り組みやすい項目」から始めて、一つ一つの項目の問題がある程度解けるようになったら、次の項目を取り組みましょう。このように進めると、得意な項目の問題について、確実に得点できるようになります。
取り組む項目の順番は、「エネルギーの保存」か「電気」から始めて、あとは、取り組みやすい項目を適宜選んで学んでいきましょう。
各項目ともに、基本的な知識と基本的な計算で解ける問題が出題されることもあります。
基本的な知識と公式を理解しておくと、正答・得点のチャンスが広がります。
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