公務員試験とSPI
公務員のみを志望する人は、公務員試験対策の勉強が必要なことは当然です。しかし、近年になって、民間企業で広く採用されているSPIを公務員試験でも取り入れる自治体が増えつつあります。民間企業を志望する人を呼び込むため、公務員試験対策の勉強の負担を減らすためなどの理由が考えられます。
ここでは公務員試験とSPIについて解説していきます。
1.SPIの概要
SPIは株式会社リクルートマネジメントソリューションズにより提供されている適性試験です。採用試験において、面接だけではわかりにくい点である、地頭の良さやリーダーシップの有無、協調性など、多角的に客観的な人となりがわかる試験とされています。通常、面接試験の前に実施されて、SPIによる合否判定だけでなく、受験生一人ひとりに合わせた面接の材料としても利用することも可能です。
SPIは過去に大幅な改訂が行われて、現在はSPI3となっています。年間13,000社以上の企業で採用されていて、受検者も年間200万人以上になる幅広く利用されている試験です。
2.SPIの内容
SPI3の内容面を見ていくと、「基礎能力試験」と「性格検査」から構成されています。「基礎能力検査」は、コミュニケーションや思考力、新しい知識・技術の習得などの基礎となる能力を測定する検査です。「性格検査」は、環境や状況によって変化しにくい様々な行動の基礎となる性格特性を測定する検査です。この二つを組み合わせることで、「どのような仕事に向いているか」「どのような組織に馴染みやすいか」「面接でどのような質問をすればいいか」「基礎的な能力はどの程度なのか」を判定することができます。
「基礎能力試験」は、さらに「非言語分野」「言語分野」の二つに大別されます。
「非言語分野」は基礎的な計算能力、論理的思考力、資料読取り能力などを測るための試験です。「言語分野」は長文読解や熟語の意味など、語彙力や文章読解力を測るための試験になっています。
SPI3 |
||
基礎能力試験 |
性格検査 |
|
非言語分野 |
言語分野 |
3.SPIの実施方法
SPIは一般的な試験形式であるペーパーテスト(マークシート方式)以外にも、いくつかの実施方法があります。まず、会社側が用意した試験会場で実施する「ペーパーテスティング」があります。会場受験ですが、リクルートが運営する専用会場でパソコンを使って受検する「テストセンター」。採用試験を行う会社内のパソコンを使って受検する「インハウスCBT」。受検者が自宅でパソコンを使って受検する「WEBテスティング」があります。
実施方式 |
内容 |
ペーパーテスティング |
マークシートでの受検 |
テストセンター |
リクルートの会場でパソコンを使って受検 |
インハウスCBT |
会社内でパソコンを使って受検 |
WEBテスティング |
受検者の自宅でパソコンを使って受検 |
4.公務員試験とSPI
近年、公務員試験でもSPIを採用する自治体が増えつつあります。導入の目的は民間企業を志望する就活生にも受験しやすくして受験生を増やすためや、民間企業を志望するような人材を求めるなどと考えられます。一般的な公務員試験とSPIを比較すると、SPIの方が容易です(ただし、SPIは、問題そのものは公務員試験より簡単ですが、短時間で大量に解く必要があります)。ということは受験生が勉強する負担が少ないので、多くの就活生が受験することになります。しかも、SPIを採用する自治体は、既存の公務員試験と併用しているところも多く、SPIによる採用は少人数に限定している場合も少なくありません(特別枠など)。つまり倍率がかなり高くなる傾向があります。
「SPIだからあまり勉強せずに受験できる」という理由で受験することはあまりお勧めしません。採用人数や自治体側が求める人物像はどういうタイプなのかを意識して、戦略的な勉強と受験プランを立てておく方が安全だと思います。
地方上級試験におけるSPI導入自治体
自治体 |
試験区分 |
長野県 |
行政B〔SPI方式〕 |
滋賀県 |
行政(アピール試験型) |
京都府 |
行政ⅠB |
大阪府 |
行政 |
鳥取県 |
事務(キャリア総合コース) |
島根県 |
行政B(自己アピール型) |
岡山県 |
行政(アピール型) |
山口県 |
行政(チャレンジ型) |
香川県 |
一般行政事務B |
愛媛県 |
行政事務B |
大分県 |
行政(特別枠) |
宮崎県 |
一般行政(特別枠) |
鹿児島県 |
行政特別枠 |
さいたま市 |
行政事務B |
静岡市 |
事務(創造力枠) |
浜松市 |
事務(行政B) |
堺市 |
事務(プレゼン型) |
岡山市 |
事務特別枠 |
福岡市 |
行政事務(行政 特別枠) |
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