教養試験と専門試験の違い
公務員試験ではほとんどの試験種で、第一次試験ではペーパーテストが課せられます。多くの場合、マークシートによる試験で実施されますが、一部はパソコンを使う場合もあります。ここでは、一般的な公務員試験のペーパーテストについて述べていきましょう。
1.教養試験とは
公務員として必要な基礎的な能力や一般教養について問われる試験です(国家公務員採用試験では基礎能力試験と呼びます)。教養試験は大別すると、一般知能分野と一般知識分野に分かれます。
一般知能分野では、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈といった科目が出題されます。これらの問題を通じて受験生の読解力、空間把握能力、計算能力、論理能力、資料の読取り能力などが問われます。
一般知識分野では、社会科学、人文科学、自然科学といった科目が出題されます。これらの科目は中学や高校で学んできた勉強内容とそれほど大きく変わりません。これまで勉強してきた内容を活かすことができます。また、中学や高校で使っていた教科書や参考書、問題集なども参考になります。
一般知能分野、一般知識分野の両方を通じて、公務員として必要な基礎的な能力として備わっているかどうかがチェックされます。
教養試験は上記のように、多くの試験種では一般知能分野、一般知識分野から出題されますが、それ以外にもその自治体の市政に関する問題や、教養試験ではなくSPIやSCOAが実施される場合もあります。
教養試験 |
出題分野 |
科目 |
一般知能分野 |
文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈 |
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一般知識分野 |
社会科学、人文科学、自然科学 |
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※一部自治体では上記以外に市政問題が出題される場合もあり |
2.専門試験とは
専門試験とは、各試験の区分に応じて必要な専門的知識を問う問題です。つまり、専門試験は試験種によって異なります。行政事務、福祉、学校事務、土木、建築など、公務員採用試験では様々な試験がありますが、それぞれの区分に応じて専門試験は出題される科目が異なり、その試験種に必要な専門的知識の有無がチェックされます。
例えば行政事務(国家公務員なら総合職、一般職)なら政治学、行政学、憲法、行政法、民法、労働法、経済学、財政学、社会政策、国際関係などが出題されます。福祉なら社会福祉概論、社会学概論、心理学概論などが出題され、土木なら数学・物理、応用力学、水理学、土質工学などが出題という具合に、試験種ごとに出題科目が異なります。
専門試験の問題は、それぞれの科目の大学卒業程度なので、学部で学んだレベルが想定されています。例えば政治学なら、政治学科で学んだレベルが、土木計画なら土木学科で学んだレベルが出題されることが想定されています。
専門試験の問題はレベルが高く設定されていますが、特に行政事務の専門試験は大別して、憲法などの法律系科目、政治学などの行政系科目、経済学などの経済系科目を勉強する必要があります。これらの科目を大学の学部レベルまで勉強することは難しいと感じると思います。しかし、実際には公務員試験では出題される分野と傾向がある程度わかっているので、それらを意識して、よく出題される分野の問題を解けるように勉強することが、合格するコツだといえるでしょう(なお、土木や建築などの技術職は、専門試験で出題される問題は、それぞれの学部で学んだことが大部分です)。
専門試験 |
試験種類・区分 |
出題分野 |
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行政事務 |
政治学、行政学、憲法、行政法、民法、労働法、経済学、財政学、社会政策、国際関係、経営学、教育学、社会福祉概論など |
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福祉 |
社会福祉概論、社会学概論、心理学概論、社会調査など |
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技術職 |
土木 |
数学・物理、応用力学、水理学、土質工学、測量、都市計画、土木系学、材料・施工など |
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建築 |
数学・物理、構造力学、材料学、環境原論、建築史、建築構造、都市計画、建築設備、建築施工など |
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電気 |
数学・物理、電磁気学・電気回路、電気計測・制御、電気機器・電力工学、電子工学、情報・通信工学など |
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機械 |
数学・物理、材料力学、流体力学、熱力学、電気工学、機械力学・制御、機械設計、機械材料、機械工作など |
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化学 |
数学・物理、物理化学、分析化学、無機化学・無機工業化学、有機化学・有機工業化学、化学工学など |
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農業 |
栽培学汎論、作物学、園芸学、育種遺伝学、植物病理学、昆虫学、土壌肥料学、植物生理学、畜産一般、農業経済一般など |
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